オーストリアのロケ
オーストリアのアルプスでの撮影
3000メートル級の山々でのロケのアドバイス
最終更新日: 2022年01月06日
最終更新日: 2022年01月06日
オーストリアアルプスは、ハリウッド映画では常に人気の撮影場所の1つとなっています。この地域では実に数多くの作品が作り出されました。たとえば、アクション映画「トリプルX」はチロルのカウナタール氷河で撮影しましたが、究極のスポーツマンを演じたヴィン・ディーゼルは、スノーボードの経験がないにも関わらずスタントマンなしで大部分のシーンをこなしました。
オーストリアアルプスは3000m級の山々が連なり、一年中冬景色に覆われています。そのためこの美しい白銀の世界の頂上には多くのスキー場もあります。万年雪で覆われた山々は、季節を感じさせない圧倒的な景観を誇り、中央ヨーロッパでも最も人気のある撮影場所と言っても過言ではないでしょう。
アルプスは7カ国(スロベニア、オーストリア、イタリア、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、フランス)にまたがるヨーロッパ最大の山脈です。そのアルプスの東側に位置するのがオーストリアです。東アルプスにはイン川、エンス川、ムラ川、ドラバ川などで作られた渓谷が多数あります。川は重要な輸送ルートでもあります。例えばイン川はスイスのエンガディンを水源とし、州都チロルのインスブルックを通り、510km先のドナウ川に合流します。アルプスの中心に位置するチロルは、ミュンヘン、チューリッヒ、ウィーン空港などへのアクセスが非常に便利で、迅速に移動することができます。
オーストリアアルプスは、ハリウッド映画では常に人気の撮影場所の1つとなっています。この地域では実に数多くの作品が作り出されました。たとえば、アクション映画「トリプルX」はチロルのカウナタール氷河で撮影しましたが、究極のスポーツマンを演じたヴィン・ディーゼルは、スノーボードの経験がないにも関わらずスタントマンなしで大部分のシーンをこなしました。
オーストリアアルプスは3000m級の山々が連なり、一年中冬景色に覆われています。そのためこの美しい白銀の世界の頂上には多くのスキー場もあります。万年雪で覆われた山々は、季節を感じさせない圧倒的な景観を誇り、中央ヨーロッパでも最も人気のある撮影場所と言っても過言ではないでしょう。
アルプスは7カ国(スロベニア、オーストリア、イタリア、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、フランス)にまたがるヨーロッパ最大の山脈です。そのアルプスの東側に位置するのがオーストリアです。東アルプスにはイン川、エンス川、ムラ川、ドラバ川などで作られた渓谷が多数あります。川は重要な輸送ルートでもあります。例えばイン川はスイスのエンガディンを水源とし、州都チロルのインスブルックを通り、510km先のドナウ川に合流します。アルプスの中心に位置するチロルは、ミュンヘン、チューリッヒ、ウィーン空港などへのアクセスが非常に便利で、迅速に移動することができます。
オーストリア最高峰の道路
チロルといえば真っ先に花が咲き乱れる牧草地を想像しますが、オーストリアのこの地域には実際にそんな場所が存在します。ホーエ・タウエルン国立公園には3798メートルのグロスグロックナー山があり、東アルプスで最大の氷河の麓にあるパステルツェ氷河には9kmにわたり列車も走っています。
ホーエ・タウエルン国立公園で一番美しいと言われているのは長さ48.3kmのグロースグロックナー山岳道路です。ハイリゲンブルートからザルツブルク近くのブリュッケにつながっています。 その36ものカーブ、および2504メートルもの高低差は、道中他に類をみない自然の景色の変化を楽しめます。 道は途中で標高約2000メートルに達しますが、道路は広く、舗装されており、通常はわずか10%ほどの勾配なので非常に安全です。 Hochalpenstrasseは素晴らしい景色と道路条件のおかげで人気の観光地であるだけでなく、撮影場所としても非常に人気です。
このエリアでの撮影に難点があるとしたら、不安定な気象条件のため霧などで視界が悪くなる可能性があることです。例えば、太陽がハイリゲンブルート側で輝いている時、ザルツブルグ側は大雨ということもあり得るので、事前に計画するのはやや難しいかもしれません。ヘリコプターやドローンが使われる場合は別ですが、道路の急カーブや、標高の変化が撮影プロセスを複雑にする可能性があることに注意することも重要です。しかしHochtorトンネルをGroßglocknerstrasseの最高点で交差した後は、ハイリゲンブルートに近づくにつれてより緩やかな道になります。
この界隈は1800平方キロメートルもあるヨーロッパ第二の規模のホーヘンタウエルン国立公園があります。グロースグロックナーの外側にあるこのロケ地にぴったりな地域では、のどかな牧草地、岸壁、滝などの大自然を楽しむことができます。
公園はラウリス渓谷にあるため、気候を予測することが出来ません。時には1日の中で四季をすべて感じることができるような日もあります。真夏のような天候でも、3000メートルの高さまで登ると冷たいハリケーンが吹いていることがあります。
パノラマ道路は5月下旬から10月初旬にかけてオープンしています。ホーヘンタウエルン国立公園での撮影は、警備員がいる場合にのみ可能です。
Hintertux、そこは真夏でも雪景色
スキーはオーストリアの国技でもあり、アルプスにあるスキー場には、260ものリフトと計7200キロ以上の長さのコースがあります。12月下旬〜1月下旬は、山の麓でも20cmの雪が積もることも珍しくない一番寒い時期です。スキーのベストシーズンは2月ですが、下旬以降は徐々に雪が溶け始めます。しかし標高が3000メートルを超える地点では気温は0度前後に留まり、一年中雪が降ることもあります。
Hintertux Glacierは標高が3250mあるため、年間を通じてスキーを楽しむことができます。2009年に「世界最高の氷河スキー場」と名付けられたオーストリアで最も人気のあるスキー場もここにあります。合計86キロのコースのうち23キロは初級、47キロは中級、16キロは上級コースです。ゲレンデには21基の大型リフトとゴンドラがあり、夏にもスキーを楽しむことができます。
この山のすごい所は、最悪の気象条件でも3250メートルの頂上まで人々を安全に運ぶことができるケーブルカー「グレッシャーバス」があることです。「グレッシャーバス」は3つのダブルトラックケーブルで作動し、通常は6m / 秒の速度で約1413メートル地点まで5分25秒で到着し、1時間当たり3281人(約を4220kg )もの人々を運ぶことができます。「バス」は午前8時15分から午後4時30分まで運行しています。
Hintertuxでは2012年にハリウッド映画が製作されました。 クリス・エヴァンス、ティルダ・スウィントン、エド・ハリスの主演映画「スノーピアサー」です。 幸運なことに撮影に完璧な気象条件にも恵まれ、地元のスタッフも映画のクルーの仕事を最大にサポートすることができました。
危険なアルプス
オーストリアのアルプスはその美しさとは裏腹に常に危険にさらされています。空気が薄くてきれいな地点ではただでさえ強い紫外線が雪に反射して更に強くなり、しかも霧の中でも弱まることがないので気をつけなければいけません。アルプスの岸壁が多い地域では落石の危険性が高く、天気が良ければ太陽はその凍った壁面を溶かし、夜になれば再び凍りつき、それを繰り返すうちに次第に壁が弱くなり崩落します。
高地での撮影においてのProgressiveのご案内
撮影の前日と撮影中にはいつもの2倍の水を飲みましょう。最大の危険は、高地に起因する急速な脱水(体液の大量の喪失)です。前日と標高の高い場所ではいつもより多くの水を摂取する必要があります(平均で約2倍)。成人の1日あたりの平均的な水の摂取量は、約2.5〜3リットルです。撮影の前日から少なくとも4〜5リットルの水を飲むことが推奨されています。 脱水の最も一般的な症状は、疲労、めまい、錯乱です。
撮影前日の飲酒はお勧めしません。更に、なるべくならカフェインを含む飲料は完全に避けるか、少なくとも撮影当日に飲む量を減らしてください! アルコールやカフェインを含む飲料は脱水症状を起こしやすくします。これは高地に起因する脱水と相まって、身体により強い影響を与え、脱水を更に加速させます。どうしてもコーヒーなどが飲みたい場合は、4〜5リットルに加えてコップ2、3杯の水を追加することが推奨されます。
撮影の前の夜は、深く長い睡眠をとってください。脱水症状の主な症状の1つは疲労です。疲労は、睡眠不足による疲労と重なるとさらに危険になります。少なくとも8時間の睡眠をお勧めしますが、それが不可能な場合でも、出来る限り長く寝て下さい。
適した服装を選びましょう。 山岳地帯は低地よりも気温が低くなります。不適切な衣服は知覚を鈍らせ、健康を害する可能性があります。気温は1000メートルごとに約6〜8度下がります。 そのため、あなたが標高800〜1000メートルにある宿泊施設にいる場合、そこから14〜18度の気温低下に備える必要があります。それでも、アルプスの天候は予測できないことがよくあります。そのため、毎日Progressiveのチームがお知らせするその日の最新の天気予報に従って衣類を選択する必要があります。
標高が高い場合は、余裕をもった、より熟慮された動きと作業が、急速な消耗を避けるために必要です。酸素濃度が低いため、息切れ、疲労、頭痛、吐き気などを発症する可能性があります。症状がなく、俊敏に仕事ができるように感じても、ゆっくりとした仕事のリズムが必要です! 疲労感は予期せず発生し、長時間続く可能性があるため、撮影のスケジュールが損なわれ、個人の健康も脅かされます。
強い頭痛や吐き気がある場合は、それ以上高い所に移動しないでください! 軽度の頭痛や疲労は一般的であり、危険ではありません。これらの症状によって引き起こされる不快感が高いレベルに達した場合にのみ対策を講じる必要があります。症状が現れた場合、イブプロフェン、アスピリンおよび他の鎮痛剤によって症状を緩和することができます。アルプスの登山中にこれらの症状が発生した場合は、登山の休憩中に状態を安定させ、症状が落ち着いた後にのみ登山を続けることをお勧めします。
撮影の前夜と撮影の間には炭水化物が豊富な食事をしてください。3000メートルを超える標高での撮影などの究極の条件では、体は通常よりも多くのカロリーを消費します。炭水化物が豊富なボリュームのある食事やスナックを摂ることによって補わなければいけません。
気象条件や雪崩に関する規則を厳守してください! 数千メートルの標高では、気象条件が急速かつ完全に変化する可能性があるため、山岳ガイドの指示に常に従うことが重要です。嵐の警告が発せられた場合、リフトの操作は嵐の状態では危険であるため、迅速に閉鎖される場合があります。このような事態が発生した場合に備え、撮影隊のすべてのメンバーが常に警戒し、責任を持って行動することが重要です。
安全に関する指示に従い、指定されたルートを守り、意図された目的に従って装置を使用してください!撮影で所定のルートから外れる場合は、常にプロダクションの山岳ガイドに従ってください。そうでない場合は事故やケガにつながる可能性があります。更に、危険な場所での滞在、登山、作業に関する警告や規制など、機器や個人の安全を保護するために、特定の状況での特別なルールが導入されています。
雪で覆われた地域では風が雪庇を作り出すことがあります。庇の大きさは6〜8メートルにも及ぶことがあり、いとも簡単に崩壊する危険性があります。 氷河の深いクレバスの横断は困難で、それらを避けるために何度も大きく迂回しなければなりません。
雪崩はスキー場で最も危険です。ヨーロッパでは雪崩の危険度が5段階に区分されています。1(低い)雪は一般的に非常に安定している。 2(やや低い)いくつかの急な斜面では、雪は適度に安定している。それ以外は非常に安定している。 3(中)多くの急な斜面では、雪は中程度または弱くしか安定していない。 4(やや高い)ほとんどの急な斜面では、雪はあまり安定していない。 5(非常に高い)雪は一般的に不安定である。チロルの雪崩警報サービスは、雪の状況や危険な地域に関する情報を日々提供しており、山岳救助隊も常に活動する準備ができています。
撮影のための装備
アルプスでの困難な撮影を緩和する便利な装備が多数あります。車やヘリコプター、あるいは最近では簡単に手に入るドローンなどがあります。
オーストリアでは、設備のレンタル会社が多数あり、英語が話せて専門知識も豊富な専門家が、プロダクションやポストプロダクションの要望に応えることができます。
オーストリアでは様々な大きさや種類のドローンに関して、それぞれ規制があります。撮影に使用できるドローンの最大重量は150kgで、飛行高度は150m以下となっています。 ドローンを使用する前にテクニカルチェックを行った後、AustroControl(航空局)に登録し、操縦の許可を取ることが必要です。
飛行許可を取る際、重量と飛行エリアに基づいて、ドローンを4つのカテゴリーに分類します。したがって、特定のエリアを飛行する際には所定の重量のドローンを使用するなどの条件を満たさなければなりません。
一般的に撮影に使用されるドローンは25〜150kgです。 ドローンで何もない上空を飛行する際には、許可を申請するために次のようなものが必要となります:ドローンとコントローラーの写真とそれに関する情報が記載されているもの。機能の信頼性が記された保証書と自身の身分証明書の写しを記したパイロットの公式証明書も必要です。しかし、同じドローンが人口の多い地域を飛行する場合は、騒音調査結果を提出するだけでなく、パイロットの許可証の提示、写真付きの身分証明書の確認、 航空交通規則に関する知識も証明しなければいけません。
これとは別に、人口密度の高い工業地域でのドローンの使用や公共のプログラム、デモンストレーションは厳重に禁止されており、損害が発生すれば全ての責任は機械の所有者が負うなどの使用条件に従わなければなりません。現在ではヘリコプターの代わりにドローンを使用する映画製作者が増えています。もし報告や許可なしでドローンを使用すると警察に通報され、22.000ユーロの罰金が科せられることを覚えておくことが重要です。
ジェームス・ボンドのミッションinソルデン
ほとんどの地域では4月までにスキーシーズンが終ってしまいますが、ロッククライミング、パラグライダー、キャニオニング、ラフティング、カヌー、カヤックなど、アルプスでは他にもまだ数多くのスポーツを楽しむことが出来ます。スキーシーズンが終わってもまだ雪が残る4月頃から、スキー場はすばらしい撮影場所になります。2015年公開の「007/スペクター」が撮影された Wildspitzével(3774m)とSimilaunnal(3607m)は東アルプスの山岳地帯にあり、年間を通して雪が積もっています。 Ötztal Alpsでのこの映画の撮影は15日間におよびました。
映画の追跡シーンはソルデンからÖtztal氷河(1377-2800m)のあたりにあるÖtztalerGletscherstrasseで、16kmにわたる範囲で撮影されました。ObertilliachにあるGolzentippスキーリゾートに撮影のため家が建てられましたが、これは後のシーンで破壊されました。
車の追跡シーンでは、山を下る道路が1つしかないため困難を極めました。頻繁に急カーブがあるだけでなく、氷と雪で覆われていました。 撮影クルーは計9台のカメラを使い、1台はヘリコプターに、もう1台は車に取り付けられ、7台は演出上地面に設置されました。 森林地帯では木々の間を縫うようにカメラワークが行われました。30ものスキーのコースや氷河に通じる道路、トンネルを閉鎖した大掛かりな撮影でした。
Gaislachkoglの頂上にあるガラス張りのIce Qレストランは、未来のプライベートクリニックとして映画の中で重要な役割を果たしました。レストランは撮影のため一ヶ月ほど一般客が立ち入ることが出来ませんでした。またヘリコプターからも数多くの空からのシーンが撮影されました。
これらのシーンを撮影するためには膨大な設備とスタッフが必要であり、キャストと撮影クルーの宿泊施設の確保は非常に重要でした。追跡シーンの撮影中、600名近くのキャストとスタッフがTuffbadのAlmwellness Hotelに泊まり、主演のDaniel CraigはソルデンのBergland Hotelに宿泊しました。
アルタウス湖での撮影中、300人もの撮影スタッフがHotel Seevillaに滞在しました。 帝国時代の別荘地として知られている湖と町は、映画の中で数多くのシーンで登場しました。
面白いことにジェームズ・ボンドシリーズの作者のイアン・フレミングは、以前チロルのキッツビュールにしばらく滞在し、この地について情報を収集していたことです。そしてここで彼はスキーも習得しました。