ブダペストの素晴らしい温泉

ブダペストに限っても、都市部の温泉施設は、100箇所以上の温泉から溢れ出る7000万リットルの水で満たされています。50年代から60年代の間には、温水はパイプラインを通じて建物を暖める暖房のために使われていました。18世紀と19世紀には、温泉施設は国中で社会生活の中心となっていました。

約1600年前、この素晴らしい現象を最初に活用したのはローマ帝国の一部としてのハンガリーを支配していたローマ人たちでした。その頃から温泉文化に対する情熱と、ハンガリーの歴史が深く結びついていることがおわかりになるでしょう。このことは、建築様式からも明らかです。ハンガリーの温泉施設からはローマ、ギリシャ、そしてトルコの建築様式の要素を発見することができます。これらの温泉施設は、その歴史的価値のおかげもあり、単なる温泉施設には留まりません。観光客が集まる場所でもあり、また国家的モニュメントでもあるのです。

美しいアール・ヌーボー様式のゲッレールト温泉は数多くの芸術家、フォトグラファ、ディレクターにインスピレーションを与えてきました。2017年にはグッチの夏のコレクションのための宣伝用写真、そしてライアン・ゴズリングをモデルとしたGQ誌のエディトリアル写真(フォトグラファ: クレイグ・マクディーン)がここで撮影されました。この温泉では、ハリウッドの大規模作品も撮影されています。例えば、2002年のエディ・マーフィー主演の「アイ・スパイ」の1シーンのように。

これらの温泉施設では、療養目的の数々のサービス、つまりあらゆる種類の温泉療法と理学療法を受けることが可能です。多くの温泉は関節炎や皮膚炎に効果があります。いくつかの温泉は、温泉水を飲むことにより、消化器疾患に効果を発揮します。また、ブダペストには数多くのスパホテルもあり、宿泊客に幅広いサービスを提供しています。

世界的に有名な温泉に入るために、毎年100万人もの観光客がブダペストを訪れており、温泉はハンガリーの観光産業の最も重要な要素となっています。ですから、ハンガリーに訪れる際は、是非とも温泉を堪能していただきたいと思います。

特にお勧めしたいのが、温泉施設での夜のイベントです。セーチェーニ温泉やルカーチ温泉では賑やかなナイトパーティーを、ルダシュ温泉のような歴史的な温泉施設ではリラックスできる月夜の入浴を楽しむことができるでしょう。

「エビータ」の撮影のためにブダペストを訪れた時、セーチェーニ温泉がアラン・パーカーの目に留まりました。映画の中では、病気のエビータが車椅子に乗っているシーンがセーチェーニ温泉の廊下で撮影されています。

もしあなたがブダペストの温泉の中からひとつだけを訪れるつもりでしたら、私たちはセーチェーニ温泉かゲッレールト温泉をお勧めします。