オーストリアでの撮影
オーストリアの素晴らしく整ったインフラ
アルプスの木造の素朴な小屋、チャーミングな小さい村や街、城や要塞へも簡単にアクセス出来ます
最終更新日: 2023年10月17日
最終更新日: 2023年10月17日
プロデューサーは主に、映画産業が盛んな地域での撮影を好みます。そういった場所では、完璧なインフラ、技術機器、映画制作の経験が豊富なスタッフをすぐに見つけることが出来ます。これらは主に大都市ですが、この他の地域での撮影もあります。この記事では、これらのタイプの制作を地方撮影と名付けます。
オーストリアが世界でもトップクラスで地方撮影に適していると言われるのは、他の国の地方撮影で起こりうるあらゆる問題を排除していることにあります。他の国ならば交通の便が悪く何日もかかるような素晴らしい場所へも、オーストリアなら短時間で簡単にアクセスでき、近くには質の高いホテルもあれば、撮影クルーの拠点として理想的な場所もあります。
プロデューサーは主に、映画産業が盛んな地域での撮影を好みます。そういった場所では、完璧なインフラ、技術機器、映画制作の経験が豊富なスタッフをすぐに見つけることが出来ます。これらは主に大都市ですが、この他の地域での撮影もあります。この記事では、これらのタイプの制作を地方撮影と名付けます。
オーストリアが世界でもトップクラスで地方撮影に適していると言われるのは、他の国の地方撮影で起こりうるあらゆる問題を排除していることにあります。他の国ならば交通の便が悪く何日もかかるような素晴らしい場所へも、オーストリアなら短時間で簡単にアクセスでき、近くには質の高いホテルもあれば、撮影クルーの拠点として理想的な場所もあります。
どんなに自然に囲まれた場所であっても、オーストリアには近くに必ず質の高いホテルがあるため、映画などの撮影がはるかに簡単になり、毎日遠くのロケ地まで移動する労力や時間、費用の無駄がありません。この国の整ったインフラにより、チームでの撮影を効率的に行うことができるため、撮影に適しています。たとえば、これらの山小屋には誰も住んでいないため、撮影中に小屋の住人をホテルなどに宿泊させたりするための追加費用はかかりません。
この記事では、オーストリアの完璧なインフラのおかげで、アクセスしやすく撮影し易い、さまざまな地方のロケ地をご紹介します。例えば中世の城や要塞、山に囲まれた雪に覆われた小屋から、手付かずの自然の中にある牧歌的な村までさまざまです。
山腹の小さな小屋
多くの場合、プロダクションは、アルプスの自然の中の時が止まったような、ひっそりとしたロマンチックな雰囲気の場所を探しています。もちろんオーストリアはそのような場所が豊富で、質の高い宿泊施設や交通の便の良さなど、撮影に理想的な条件が揃っています。
ザルツブルグ近郊のベルグドルフプリースターレッグにあるシャレー(山小屋)は、本格的なアルプスの雰囲気を味わえる場所です。渓谷に立ち並んでおり、レオガンガー・スタインベルゲン山脈の壮観な景色を眺めることができます。小屋は細部にまでこだわっており、本格的でセンスのいい家具や、手織りのリネンなどのインテリアで飾られています。アルペンスキー選手でもある有名なファッションデザイナーでディレクターのウィリー・ボグナーがここでシャレーを所有していることからも、この地の素晴らしさを知ることが出来ます。彼はまた、何十年もカメラマンとして活躍していました。代表作は、世界的に有名なジェームズ・ボンドの映画、「007 私を愛したスパイ」や「007 美しき獲物たち」などです。
アールベルグ・カンダハル博物館は、チロルのセントアントンスキー場にあります。この建物には、レストラン、暖炉のあるホール、図書館、狩人の休憩所もあります。敷地内には古い大きな公園もあり、アルペンスキーの父と呼ばれるハンネス・シュナイダーによって開拓されました。優れたインフラストラクチャと質の高い宿泊施設などによって制作に優れた環境が整えられています。良い例として、この博物館で撮影された多くのシーンがあります。ヘリスキーで撮影されたアールベルク山脈の見事なショットと組み合わされた英国のスノーボーダー映画「ルーキー・ハウス・ガール」です。
ヒンターシュナブルの正統な農家と呼ばれるエルマウ村の「ベルグドクトールの家」の歴史は、1694年まで遡ります。その後、2007年のテレビシリーズ「Bergdoktor」の制作チームがこの家を発見し、修復し、内装を変えて医師の診療所として撮影しました。この村は、世界中の多くの人々に愛されているこの家と地域を非常に誇りに思っています。外観撮影は、村にある「Föhrenhof」ホテルを使用しました。このホテルは最大40床のベッドと、旅行者や撮影クルーに最高の食事を提供しています。
3つ目の場所として、スタンツ渓谷にある標高1158メートルのFlirschと呼ばれるチロルの村をご紹介したいと思います。フリッシュの市庁舎である「ヴィラ」は1903年から1905年にかけて建設されました。もともとは地元のローデンファブリク工場のオーナーの家でしたが、60年後に村の財産となりました。この美しい建物には図書館もあります。この地域ではスキーは非常に人気があり、多くのホテルが村にオープンすることで観光業が盛んになりました。
のどかな牧草地と壮大な山脈の中で、Wachterhofの山小屋からはZillertalの素晴らしい景色を眺めることができます。もともとは60年以上前に牛舎と干し草置き場を兼ねた機能的な建物として建てられ、その後貸出用の別荘に改装されましたが、外観は最初に建築された当時の魅力的な木の梁を残したデザインのコテージとなっています。ここは文明から遠く離れた小屋を撮影するのに理想的です。何故なら、そこに通じる道路さえないためです。アクセスするには車で山から100メートル離れた駐車場まで上り、その隣の民家では荷物を置いたり宿泊したりすることが出来ます。
これまで述べたように、大都市だけではなく、このような小さな村の山小屋までさえも、交通の便が良いために簡単に辿り着くことが出来ます。多くの場合、山小屋には人は住んでおらず、主に貸別荘や博物館として使われているため、撮影などに利用しやすくなっています。オーストリアでは、山に囲まれた見晴らしのいいロマンチックな山小屋で撮影するのに、何時間も移動する必要がないわけです。ここは世界でも最も物価が高い国と言われていますが、この便利な交通網のおかげで時間と費用を節約することが出来、プロジェクトの予算を大幅に節約することが出来ます。
小さい村
オーストリアには、大自然に囲まれた伝統的な村が、古い雰囲気を残したまま多く残っています。ここではどんな場所でも交通の便が良いために行きやすく、質の高い宿泊施設が確保できる上に、経験豊富なアシスタントがすぐに見つかります。撮影のための隠れたヒントをいくつかお教えします。
半年ほどノルウェーやイタリアなどでロケ地を探していましたが、結局オーストリアのチロル地方がかつてない大規模なプロジェクトの場所として選ばれました。オスカーも獲得したサム・メンデス監督の「007 スペクター」で、レイフ・ファインズやクリストフ・ヴァルツ、モニカ・ベルッチやレア・セドゥなどの有名俳優が起用されました。制作拠点はSöldenに置かれ、ÖtztalやObertilliachで撮影が行われました。
標高1450メートルにあるチロル地方西部の村Obertilliachは、人口が700人ほどで、観光化されていません。 歴史あるこの村で撮影された映画の中で、スペクターは4つの場所で銃撃戦を繰り広げました。2015年1月、ダニエル・クレイグは3日間ここで滞在し、「ボンドハウス」でのスキーのシーンを撮りました。「ボンドハウス」の近くに住む地元の人々は、キャストとクルーを彼らの家に迎え入れ、自家製の料理を振る舞い歓迎しました。
アルプバッハというチロルの村では、「Wildbach」というドイツのテレビシリーズを撮影しました。シリーズが終わってから20年以上も経っているにも関わらず、まるで昨日撮影されたかのように村の景色は全く変っていません。アルプバッハの役所は、シリーズでは山岳地帯のレスキュー所として、ロケの中心地として活躍しました。村にはホテルもあって美しいパノラマが広がり、撮影隊に必要な全てが揃っていました。
ザルツブルグ郊外のグロスマインにあるザルツブルグ 野外博物館は、実際に使われていた民家はもちろん、農家の穀物倉、駅、水車、手工業の作業場、チャペルなどが移築され、広大な敷地内に約100棟が展示されている民族博物館です。ここでは昔の生活がどのようなものだったのかを知ることが出来ます。ここでは2014年のオーストリアの映画、「Das finstere Tal」が撮影されました。
城や要塞
世界中の映画制作をする人々を惹きつけるオーストリアの魅力とは、この国のユニークで歴史的な魅力あるロケ地をフィルムに収めることができることです。雪に覆われた山は、様々なシーン応じて、時としてロマンティックな過去を、時として迫力あるスポーツシーンを演出します。オーストリアでは、地方での撮影でも近代的なサービスを備えており、安心してプロジェクトを進めることができます。
フシュル城はザルツブルグから車ですぐの伝説的なロケ地です。このリゾート地は「サウンド・オブ・ミュージック」やロミー・シュナイダー主演の「プリンセス・シシィ」などの映画を撮った、山に囲まれた美しい景色のスパや、鏡のような湖、緑豊かな森やなだらかな牧草地が広がっています。
「プリンセス・シシィ」で有名な監督のエルンスト・マリシュカは、1955年にポッセンホーフェン城の代わりに撮影できる場所を探していました。シシィが幼少時代を過ごしたことで知られるこの城は当時と変っておらず、当初この宮殿での撮影を考えていましたが、そこは牧歌的で壮大ではないことがわかり、絵のように美しいフシュル湖のほとりに建つフシュル城に落ち着きました。ポッセンホーフェン城のあるバイエルン地方のスタンバーグ湖はフシュル湖とよく似ているということもありました。フシュル城は今では高級ホテルになっており、かつて王族や有名スターが過ごしていた場所を訪れることが出来ます。この建物は「サウンド・オブ・ミュージック」にも登場します。
レオポルドスクロン城は、ザルツブルグからそれほど離れていない、アルプスの山々を見渡せる美しい湖のほとりにある素晴らしい城です。1918年、ヨーロッパで最も有名な劇場監督であるマックス・ラインハルトがこの城を買収しました。彼はザルツブルグの職人の力を借りてそれを修復し、多くのホールを改装しました。完成後、彼は建物に劇場も作り、友人や観客を呼び、新たな活気をもたらしました。これらは普通の舞台の演劇ではありませんでした。なぜなら、ステージを舞台にする代わりに、城の部屋を使って、演じる俳優と共に観客も様々なインテリアの部屋を移動する、という演出だったからです。彼はまた、自然が背景となった庭園劇場も造りました。この頃から、レオポルドスクロン城はヨーロッパの中で文化の中心になりました。
1965年の映画「サウンド・オブ・ミュージック」の初演以来、全世界がトラップ一家の物語を愛するようになりました。しかし、1964年にザルツブルグでこの映画を撮影し始めたときは、制作スタッフの誰もこのような世界的な成功を予想はしていなかったでしょう。ハリウッド映画「メアリー・ポピンズ」の人気女優ジュリー・アンドリュースは、この映画で再び乳母の役を演じました。
レオポルズクロン城は、映画での多くのシーンが敷地内で撮影されたため、親しみを込めて「サウンド・オブ・ミュージック」宮殿と名付けられました。メインルームの1つは映画スタジオで完全に再現され、鏡や金色の装飾が施された美しいインテリアなどが映画のシーンに使われています。
1987年には、ジュリー・アンドリュースとジョン・デンバー、プラシド・ドミンゴがレオポルズクロン城を再び訪れ、「サウンド・オブ・クリスマス」という映画にちなんだスペシャル番組が制作されました。のちに「サウンド・オブ・ミュージック」の50周年を記念して、ジュリー・アンドリュースが案内人となり、ドキュメンタリー「The Sound of a City」も作られました。
「デビルクエスト」の制作チームは、枢機卿の住む城を探してヨーロッパ中回っていました。「我々はまずハンガリー、チェコ、ドイツなどで探していました。スペインやイタリアからも色々な城の写真が送られて来ました。本格的な城が必要だったため、建築を徹底的に研究したりもしました」と製作のチャールズ・ローヴェンは回想しています。ついに彼らはクロイツェンシュタイン城を見つけ出しました。この城はウィーンからわずか20キロの場所にありますが、丘の上に建っており、自然に囲まれています。本格的な古い城で、その歴史は1115年まで遡ります。城からの眺めは壮大です。跳ね橋や頑丈な厚い壁、鉄の扉など、侵略者から中の住人たちを守るために作られた入り口は当時のものです。中世以来ほとんど変わっておらず、本物のタイムカプセルになっています。
ラポッテンシュタイン城は、700年以上にもわたり、征服されたり破壊されたりしたことのない珍しい古城で、そのためロマネスク、ゴシック、ルネッサンスと、いくつもの時代の特徴を備えたものとなっています。今日ではオーストリアでも最もいい状態に保存されている城の一つです。映画製作者にも愛されている場所で、 「マクシミリアン」や「Karl der Grosse」、「die Wanderhure」のように、数々の映画も製作されました。
中世の要塞で知られているのは、UnternbergのMoosham城、RamingsteinのFinstergrün城、ザルツブルグのHohenwerfen要塞です。
街
オーストリアの大都市では、中心部は近代的で革新的な近代建築に満ちていますが、田舎に行くと正反対です。しかし、オーストリアには完璧な交通網が発達しているため、このような場所へも都市や空港からも簡単に移動できるため、このような古い街へ行くことが大変だとは思わないで下さい。街は無限にありますが、その中のいくつかをご紹介させてください。
ツェル・アム・ゼーは他に類を見ない場所です。息をむような山々と湖に囲まれたザルツブルグ地方の中心部に位置しています。活気に満ちた文化的な面もあれば、伝統的な祝祭もあり、洗練された料理と優れたおもてなしで素晴らしい思い出を作ってくれることでしょう。
チロル地方のキッツビュール川沿いには、キッツビュールと呼ばれる小さな中世の町があり、ジェームズ・ボンドの作者であるイアン・フレミングが1920年代に住んでいました。1969年のアメリカ映画「白銀のレーサー」は、ロバート・レッドフォードとジーン・ハックマン主演でここで撮影され、このユニークな町は世界中の映画製作者たちの注目を集めました。
オーストリアでは全土でシャレー(山小屋)が建てられているわけではありませんが、セント・アントンでは、オーストリアの他のすべてのリゾート地よりも多くのシャレーが集まる本拠地であり、映画「シャレー・ガール」のロケ地にも選ばれています。他の多くのオーストリアの町と同様に、ここでも観光業が盛んですが、この町では完璧なインフラに支えられながらも依然として伝統的なイメージと雰囲気を維持しています。
ザルツブルグはオーストリアの最も代表的な都市の1つであり、そのエレガントなバロック建築、街を見下ろす丘にある城、そして街を流れる美しい川があります。モーツァルトの生誕の地であり、オーストリアの有名な菓子、モーツァルトクーゲルの発祥地でもあります。このような歴史の古い街ですが、映画製作をスムーズに進められるよう、撮影に必要な全ての理想的なインフラストラクチャが確保されています。
トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ニコラス・ケイジなど、ハリウッドから沢山の有名人がザルツブルグに撮影に訪れ、この街の歴史や美しさに魅了されました。
オーストリアの優れたインフラのおかげで、この国のどの地域での撮影もスムーズに行うことが出来ます。大自然や古い歴史地区へも簡単にアクセス出来、アルプスの質の高いホテルへの滞在で更に撮影クルーのコストと時間を節約することが出来ます。