ハンガリーでの撮影

鉄道と映画市場

映画製作者の視点から

ハンガリーは、鉄道に関連する複雑なシーンを撮影する場合、ヨーロッパで最も人気のある撮影場所の1つとなっています。その理由は、同国には十分なインフラがあり、鉄道会社に豊富な撮影経験と柔軟性があるからです。


ハンガリーの鉄道駅がロケ地として珍しい理由の一つは、世界中の鉄道シーンにぴったりな場所を見つけられることです。多くの国では満足のいくインフラがあるものの、これらがしばしば過負荷になり、撮影のためにプラットホームを閉鎖することが出来ないということが起こります。しかしハンガリーでは列車運行管理システムがまだ確立されていないため、プラットホームを容易に閉鎖できる独自のシステムがあるのです。


ハンガリーは、鉄道に関連する複雑なシーンを撮影する場合、ヨーロッパで最も人気のある撮影場所の1つとなっています。その理由は、同国には十分なインフラがあり、鉄道会社に豊富な撮影経験と柔軟性があるからです。


ハンガリーの鉄道駅がロケ地として珍しい理由の一つは、世界中の鉄道シーンにぴったりな場所を見つけられることです。多くの国では満足のいくインフラがあるものの、これらがしばしば過負荷になり、撮影のためにプラットホームを閉鎖することが出来ないということが起こります。しかしハンガリーでは列車運行管理システムがまだ確立されていないため、プラットホームを容易に閉鎖できる独自のシステムがあるのです。


ハンガリーの鉄道ネットワークは他に類を見ないほどフレキシブルでプロダクションに協力的です

鉄道駅での撮影での経験によると、通常の交通量で各車両の動きを調整するのは容易な作業ではないため、綿密な計画と十分な準備が必須となります。すべてにおいて特に高いレベルの注意と集中力が必要です。ハンガリーは鉄道駅で国際的な撮影をするためにも今までにも何度も選ばれているため、映画産業と鉄道システムが手を携えていることから、撮影に対する経験が非常に豊富です。

ブダペストの鉄道駅のロケ地

ハンガリーには首都と田舎の両方で鉄道場面を撮影するのに最適な数え切れないほどの場所があり、1950年代のドラマや現代アクション映画でも利用されています。


ブダペストの象徴的な駅はブダペスト東駅とブダペスト西駅ですが、両方ともプロダクションを歓迎しています。


ブダペストの象徴的な駅は東駅と西駅です

ブダペスト東駅はブダペストの中心部に位置し、将来西ヨーロッパの各都市との往来が増えることを見据えたジュラ・ロッホリッツの設計によって1884年に竣工しました。そのため建物はベルリン中央駅に似た折衷的なスタイルとなっています。東駅を訪れる人々はその美しさだけでなく、駅構内のスケールによっても圧倒されます。駅全体は約16800平方メートル、ガラスホールの長さは180メートル、幅は42メートル、高さは31.4メートルです。鉄道駅には13のプラットホームがあり、うち4つは中央ホール内にあります。

長年にわたり、駅の建物ではマドンナやスカーレット・ヨハンソン、ジョシュ・ホロウェイのような数多くの大スターなども撮影したこともあり、頻繁にプロダクションによって利用されています。


東駅はその美しい外観のために多数の撮影に利用されています

ブダペスト東駅の魅力的な建物で撮影されたすべての映画を挙げることは不可能なので、いくつかの重要なものを集めました。 まずは1996年に公開されたマドンナ主演の「エヴィータ」。 エヴィータの撮影ではブダペスト周辺の他の多くの場所と共にこの駅も使われました。アルゼンチンのファーストレディーの劇的な物語はブエノスアイレスに設定されていますが、ブダペストの建築はブエノスアイレスに非常に似た雰囲気があるため、多くの場面がここで撮影されることとなったのでした。

2001年の映画「アメリカン・ラプソディー」では、多くの場面でブダペスト東駅を見ることができます。 この映画は、ハンガリーからアメリカへ移住した家族の中で最も幼い娘であるジュジャの人生をスカーレット・ヨハンソンが演じた物語です。


ハンガリーでは、ブラッド・バード監督が手掛けた「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」など、アクション映画が大量に撮影されています。 映画の冒頭から、上空からのブダペスト東駅の素晴らしいパノラマを眺めることができます。ジョシュ・ホロウェイが演じるエージェントのハナウェイは、駅の屋上で追っ手から逃げ出し、華やかなジャンプで彼らを振り払っています。


夜間の撮影は鉄道駅では滅多に行われません

当然、長編映画だけでなく、テレビドラマでもブダペスト東駅を見つけることができます。例えば、スパイシリーズなどでは駅はモスクワに扮することも出来ます。ヒョンビンとパク・シネが主演する韓国のドラマ「アルハンブラ宮殿の思い出」シリーズでは、夜のバルセロナ駅として撮影が行われました。


ブダペスト東駅と共に、やはりブダペストの中心部に位置するブダペスト西駅も忘れてはなりません。その素晴らしい建築は首都の宝の一つです。鉄道駅は1877年に竣工しましたが、鉄の複雑な構造は技術的に奇跡と言われました。この駅の設計は、パリのエッフェル塔の建築家ギュスターヴ・エッフェル(Gustave Eiffel)社のものです。


駅には17ものプラットホームがあり、ホールの長さは146メートル、中央ホールの幅は42メートル、最も高いポイントは25メートルです。建物は巨大なガラスホールの正面を構えています。そして数え切れないほどの窓がある豪華な建物に囲まれており、屋根はその時代の趣向によるフランスのスタイルとなっています。

西駅の美しい鉄の構造やガラスの装飾は今日でもユニークなものとなっています
駅構内と共に、駅の貴賓室もロケ地として人気があります

西駅では、2007年のグウェン・ステファニーのミュージックビデオ「Early Winter」の撮影が行われました。ビデオの中では中央ホールの列車の間の場面の後に、駅構内の壮大な貴族の待合室が現れます。

Youtube グウェン・ステファニー「Early winter」

ブラッド・ピットもまた、ブダペスト西駅にいたことがあります。映画「スパイ・ゲーム」でベルリンに扮したブダペストでは、各地でロケが行われました。


ブダペストで撮影された映画はまだまだあります。2017年の「ナチス第三の男」では、第二次世界大戦中のプラハという設定で撮影されました。この映画では西駅は何度もプラハのシーンとして登場し、映画のトレーラーでも見ることが出来ます。


シリーズの第3シーズンのベルリン駅としてのシーンの大部分はハンガリーで撮影されました。米国のプレミアム映画チャンネルEPIXの人気スパイシリーズの制作者たちも、西駅で迫力ある追跡シーンを撮影しましたが、このシーンはエストニアの首都タリンの主要駅であるBalti Jaam駅ということになっていました。 主人公の一人Leland Orserは、彼のファンに西駅でのロケについて紹介しています。


ここ数年、西駅はラコステなど、数え切れないほどのコマーシャルなどの撮影場所としても選ばれています。ラコステのCMは駅のプラットホームで男性と女性がぶつかってしまうところから始まり、時空を超えて愛が結ばれるという壮大なストーリーになっています。これとは別に、ボーデンやブラックスのような他の多くのブランドも、広告に西駅を採用しています。

Youtube ラコステ – 時空を超えたテレビコマーシャル

田舎の駅舎

当然のことながら、ブダペストだけでなく、鉄道シーンの撮影に最適な場所があります。ハンガリーは田舎でも刺激的な場所に恵まれており、絵のように美しい畑や丘陵地を走る列車を撮影することができます。国は東と西で全く違う表情を見せてくれるので、縦横に走る鉄道のおかげでバラエティに富んだ撮影をすることができるのです。


ハンガリーではブダペストだけでなく数え切れないエキサイティングなロケ地があります

たとえば、ハンガリーの風光明媚な丘陵地帯にあるPásztóという町の1898年に建設された鉄道駅を見てみましょう。この小さな黄色い駅舎は、実にロマンチックな田舎の雰囲気を醸し出しています。線路の間には草が生い茂っており、例えば蒸気機関車などのレトロなシーンなどもよく似合います。またPásztóはかつて非常に栄えた鉱山町だったので、小さな駅の割に15ものプラットフォームがあるのも特徴です。

驚くことに、Pásztóの駅には15ものプラットホームがあり昔は交通が盛んでした

その一方で、Hatvanの駅はPásztóのそれとはまったく異なる建築上の特徴を持っています。駅舎は1956年に建てられ、アーケードや黄色の壁がスペインを彷彿させます。

駅構内の移動は地下道が使われています。駅には歩道橋もあり、そこから駅全体を見渡すことが出来ます。

駅の待合室のアーケードや黄色の壁は地中海風の趣があります
「アルハンブラ宮殿の思い出」はブダペストから2,5時間ほどの所にあるMezőtúr駅で三日間に渡り行われました

Mezőtúrの鉄道駅はハプスブルグ帝国の全盛期の1858年に建てられました。建物の壁のレースのような装飾のように、建物の正面にはロマンチックな建築要素が盛られています。この駅は2009年に改装された折にプラットフォームの屋根の部分の装飾を完成させ、そのおかげで遺産としての価値を高めました。「アルハンブラ宮殿の思い出」のシーンのいくつかはこの駅で撮影しました。

ハンガリーの鉄道車両

ハンガリーでは、撮影に使用できる鉄道車両の種類や年代はさまざまなものがあります。車両の中でも青いものは最もポピュラーなタイプです。車両の中は客室がドアで仕切られたキャビンタイプになっており、反対側は廊下になっているというユニークな構造で人気があります。1970年代のモデルから2012年に製造されたまったく新しいモデルまで、さまざまな種類の列車が使用されています。近代的なデジロ電車もあります。真っ赤な車両とモジュラー式のこのタイプは、広々とした乗客エリアを特徴とし、1977年から2006年に製造されたものまで全てのモデルを持っており、実際に使用されています。


当然、1800年代にさかのぼることが出来る懐かしい車両を使う機会もあります。現在、蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車、複数台編成の列車の他、寝台車、サルーン車、ダイニング車、コミュニティ車があります。

Youtube 蒸気機関車の競争

数え切れないノスタルジックな電車を撮影に利用することができます

中央鉄道会社からレトロ電車を借りることができるだけではありません。ハンガリー鉄道歴史公園では、公園内外の数え切れないほどの歴史的な乗り物を利用出来るサービスもあります。公園の70,000平方メートルのエリア内には、100台以上の鉄道車両と、鉄道の運行に必要な機器があります。1870年代から国内で最も機能し続けている蒸気機関車の車両基地でもあります。列車もそうですが、公園内に独自の格納庫があり、ここを撮影に使用することもできます。この場所のもう1つの利点は、電車の行き来がないため、落ち着いた環境で撮影が出来ることです。

安全の重要性

駅での撮影には多くの危険が伴うため、現場での作業には特別な注意、先見、機敏さ、そして規則の厳守が必須です。撮影のために閉鎖されていない電車の線路を横断したり歩いたりすることは固く禁じられているし、または止まっている車両の間を移動することは禁止されています。撮影の日は特に通過する電車に注意を払う必要があります。なぜなら、通過する際の風が装備を吹き飛ばす可能性があるからです。そして最も危険な要因である高架線は2メートル以内に立ち入ることは禁じられているので、撮影を困難にします。

ハンガリーでの撮影のもう一つの長所は、高架線のない駅を提供することが出来ることではないでしょうか。Székesfehérvár -  Tapolca鉄道路線は高架線がなく、そのために制限される要素を排除出来るため、より刺激的な方法で撮影することが出来ます。この列車は、ヨーロッパ最大の湖の1つであるバラトン湖畔に沿って、国の丘陵地帯を走っています。

ハンガリーでの撮影のもう一つの長所は、高架線のない駅を提供することが出来ることではないでしょうか

最後に統計を少し。ハンガリーの鉄道の総長は8000キロメートル以上あり、旅客は16の大きな駅と600近くの中小規模の駅を通ります。長年にわたって多くの駅が改装されてきましたが、時が止まっている状態の無数の駅もあり、廃れた雰囲気が味を出しています。最も古い駅は1860年に建てられ、Székesfehérvárと呼ばれる田舎の街で見つけることができます。ロマンチック、ドラマチック、アクションなどの様々なシチュエーションに対応出来、またモスクワ、ベルリン、パリなどの世界の駅に扮することも出来ます。

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