ハンガリーでの撮影
ハンガリーが誇るお酒
ブダペストに来たら絶対に試して欲しいお酒
最終更新日: 2023年10月06日
最終更新日: 2023年10月06日
ハンガリーは非常に多種多様な飲酒文化を持っており、ハンガリー人は主に3種類のアルコール、すなわちワイン、ビール、パリンカを好んで飲んでいます。Progressive Productionsはこれらについてご紹介したいと思います。
ハンガリーは非常に多種多様な飲酒文化を持っており、ハンガリー人は主に3種類のアルコール、すなわちワイン、ビール、パリンカを好んで飲んでいます。Progressive Productionsはこれらについてご紹介したいと思います。
ワイン文化
アルコール飲料はこの国の歴史や食文化の中で重要な役割を果たしてきたため、ハンガリーでは様々な種類のワインが誕生しました。ハンガリー人はワインを非常に誇りに思っています。だからこそ、トカイワインやエグリ・ビカヴェールなどを是非とも一度飲んで頂きたいのです。
最も知られているワインは、トカイワインと呼ばれる貴腐ワイン(ハンガリーの北東部、トカイの名にちなんで名付けられました)とヴィラニー地方の赤ワイン(ハンガリーの南部)です。トカイのワイン地帯は、その文化的、伝統的価値のためにユネスコの世界遺産に登録されています
ワインはエグリ・ビカヴェール(雄牛の血)と呼ばれ、深い赤色と濃厚でフルーティな味わいの赤ワインで、最も有名なハンガリーワインの1つです。伝説によると、雄牛の血という名前の由来は、ハンガリーが16世紀にトルコの占領下にあった時代に遡ります。エゲル城の城主はトルコ人との戦いで兵士たちに赤ワインを飲ませました。ハンガリーの兵士たちが赤い液体を飲んで復活したのを見たトルコ兵たちは、雄牛の血を飲んでいるのだと勘違いし、戦意を失ったトルコ兵は戦いを諦めました。しかし実際はこの伝説は真実ではありません。その時代のハンガリーでは白ワインしか知られていなかったからですが、それでも伝説としては面白い話です。
ハンガリーでの特にお勧めのワインは以下の通りです:
1.トカイ・アスー
2.エグリ・ビカヴェール
3.ヴィラニー(Kékfrankos)
4.バダチョニ(Hárslevelű)
5.トカイ(Szamorodni辛口)
これらのワインはブダペストのほとんどのレストランに置いてあります。
パーリンカ
ハンガリーでは「ジャムを作るために使う道具でパーリンカも作ることができる」と言われていますが、それほど人々の生活にパーリンカは浸透しています。全国にあるパーリンカの蒸溜所ではプラム、アプリコット、および梨などを使い、フルーツの豊かな風味を生かしてアルコールを熟成させて手間をかけて作られています。
パーリンカの最初の記述は17世紀の書物にあります。19世紀の記録によると20万カ所もの蒸溜所がありましたが、労働組合が国内外での市場の基準を上げるために規制を厳しくし、その数は減少しました。20世紀初めにパーリンカが国際的に有名になると、社会主義体制の名の下ですべての富、ビジネスを国民に還元できるように、Pálinkaの醸造もまた国有化されました。基準によると最も弱いパーリンカの度数は40%です。
パーリンカは現在のように人々から愛されるお洒落な飲み物ではありませんでした。1989年の政治改革の後、国有化されたすべてのものの品質が何十年にもわたって急速に低下し、設備や材料の質も悪いため、国内では質の良いパーリンカをほとんど見つけることができませんでした。当時の人々はこれに慣れていたので、市場に良質のパーリンカを求めていた訳ではありませんでした。彼らは高品質のパーリンカがどんなものであるかさえ知らなかったのです。
2002年、新しい法律によってパーリンカに厳しい基準が作られ、欧州連合(EU)がパーリンカの特許を承認しました。これは、ハンガリーの文化と経済を繁栄させるために、政府がパーリンカをポピュラーで質の高い飲み物にすることを推奨したおかげです。文化的に支援することを念頭に、昔からの醸造家たちは品質の良い果物や機械を買うために投資を始めました。
2010年、ハンガリーの議会は自宅でパーリンカを醸造することを合法とし、50リットル以下であれば免税になりました。以前は違法であるにも関わらず人々は勝手にパーリンカを作っていたので、ある程度家庭醸造を承認し、国にいくらかの税金を払うシステムにした方が良かったのです。したがって、果物が大量に収穫されると、その果実を使って人々は自家製のパーリンカを作るようになりました。しかし、厳しい基準により自宅で作る物は蒸溜酒と呼ばれます。近年ではますます多くの人々が質の高いパーリンカを求めており、数多くのブランドがさまざまなマーケティング戦略を打ち出しています。
最も強いハンガリーのパーリンカは"kerítésszaggató"と呼ばれ、訳すと「フェンスを破壊する」です。ご想像の通り、前後不覚になった人がバランスを崩す、というということを意味します。
一番有名で美味しいパーリンカのブランドはRézangyal、ÁrpádそしてZsindelyesです。パブやレストランに行けばこれらを味わうことが出来るでしょう。
1990年代の酔っ払いの描写
1970年代のハンガリーでは、労働者が朝の出勤前に1、2杯のパーリンカを飲んでしまうという大きな問題がありました。仕事が始まる時には既に酔っていて、勤務中も飲み続けている人さえいました。このため、1978年に政府は新しい法律を施行し、午前9時前にアルコールを販売することを禁止しました。これにより幾分状況は改善されたので、1986年に更に新しい法律が制定され、職場でもアルコールを販売し、消費することが禁じられました。仕事のイベントでは例外もありましたが、これをきっかけに仕事中の禁酒の習慣が根付きました。
この頃、ハンガリーのコメディアンによる典型的な酔っ払いの描写が人気を博していました。90年代半ばまで、酔っ払いといえば呂律が回らず、前後不覚になっている労働者と決まっていました。酔っ払った職人が登場するシーンは、コメディショーでは不可欠な要素でした。この酔っ払いを演じることによって、彼らは当時口にすることを禁じられていた社会主義の問題や不安定な生活状況に対しての不満を堂々と人前で披露することが出来たのでした。
その後午前中にアルコール販売を禁止する法律が廃止されました。一方、夜10時以降、ブダペストの多くの地区では、夜間に街中の騒々しい青少年を最小限に抑えるため、飲食店での販売を禁じています。
ビールの文化
ハンガリーは特にビールで有名な訳ではありませんが、シュールと発音する「sör」は、1000年以上にわたって造られています。
今日ますます多くの地ビールの醸造所がオープンし、質の高いビールを提供しているので、ハンガリーの地ビール市場は日々発展しています。ハンガリーに滞在されるなら、これらのいくつかを是非訪れることをお勧めします。
豆知識:ハンガリー人はビールを飲むときにグラスで乾杯することをしません。それは1848年、ハンガリーが属していたオーストリア帝国に対する革命が起こったことが発端です。革命は失敗し、オーストリアのユリウス・ヤコブ・フォン・ハイナウ(Julius Jacob von Haynau)は、13人のハンガリー反乱軍の処刑を命じました。彼らは現在、アラドの13人の殉教者と呼ばれ、英雄となっています。その時オーストリアの将軍たちが刑の執行を祝うためにビールのグラスで乾杯したことから、その後ハンガリー人はビールを飲むときに乾杯をしなくなったといいます。通常、そのような宣約は150年しか有効でないことになっているのですが、若い人たちの間でも今でも多くの人々が伝統に従っています。今でもこの国ではビールで乾杯するのは悪いことであると考えられています。
ハンガリーのポピュラーなビールはDreher、Borsodi、SoproniとArany Ászokです。
もしあなたがブダペストで美味しいビールを飲みたかったら、ÉlesztőやLéhűtőのようなクラフトビールを是非お試し下さい。
このようなビールはレストランやパブで飲むことが出来ます。