映画産業
ヨーロッパで予算がフレンドリーな国々
東ヨーロッパでの撮影について知る必要があるすべて
最終更新日: 2020年05月21日
最終更新日: 2020年05月21日
東ヨーロッパでの撮影の利点についての記事はよくありますが、ハンガリー、チェコ、またはルーマニアでの撮影を真剣に検討する場合、本当に重要な疑問について議論している記事はごくわずかです。Progressive Productionsは東ヨーロッパの映画制作会社であるため、私達はしばしばこれらの質問を受けます。日々このようなやり取りをしているうちに、それらの疑問を集めて私たちのウェブサイトで答えるべきなのではないかと感じたのです。
東ヨーロッパでの撮影の利点についての記事はよくありますが、ハンガリー、チェコ、またはルーマニアでの撮影を真剣に検討する場合、本当に重要な疑問について議論している記事はごくわずかです。Progressive Productionsは東ヨーロッパの映画制作会社であるため、私達はしばしばこれらの質問を受けます。日々このようなやり取りをしているうちに、それらの疑問を集めて私たちのウェブサイトで答えるべきなのではないかと感じたのです。
どの国を選ぶべき?
東ヨーロッパを費用対効果の高い撮影場所として話すとき、私たちは一般的に3つの国を意味します:ハンガリー、チェコそしてルーマニア。質問が一般的にどの国が最も安いかということであるならば、早い答えはルーマニアです。他に比べはるかに安いです。次にハンガリー、最後にチェコが続きます。ハンガリーとチェコは撮影時期やプロジェクトに応じて、予算的に高かったり安かったりするので、大体同じくらいだと考えてもいいでしょう。当然のことながら、ルーマニアでも価格の変動があることがありますが、これは国規模の経済の変動によるものです。ハンガリー、チェコではほとんどのプロジェクトが首都の周辺で実行可能ですが、ルーマニアの場合は多くの場合、かなり長い時間をかけてロケ場所に移動する必要があるため、その分のコストが上がるデメリットがあります。
サービスの質に関して最も重要な要素は、スタッフの専門的な経験です。チェコが1990年代初頭に映画制作サービスを提供した最初の国であり、その後ハンガリーが続きました。これが、プラハがブダペストよりもコマーシャルなどを撮影するための最も有名な場所である理由です。プロデューサーにとってはそのことは長い間知られていることでした。しかしブダペストも後に続くように撮影に適した土台を作ることに成功し、過去数年間の統計によると、最近ではプラハよりもブダペストでより多くの撮影が行われています。いずれにせよ、両国でのスタッフの経験は同等であり、どちらの場所でも映画制作のあらゆる分野で専門家を見つけることができます。専門家の数は長年にわたって増加しているので、他の国から専門家を連れてくる必要はありません。ルーマニアの人気は最近伸びてきており、映画製作者が地元のスタッフに欠けている専門家がいれば、他の国から補充するために節約出来た予算のいくらかを充てることが出来ます。プラハやブダペストほどブカレストで撮影されている映画はそれほど多くはありませんが、街の人気は常に高まっています。
最後に、国を比較するとき、利用可能な撮影場所を見てみる価値があります。チェコで最も魅力的な都市はプラハです。愛らしい街で、小さくてカラフルでロマンチックな建物が並びます。ハンガリーで最も人気のある撮影場所はブダペストです。ブダペストはその非常に多様な建築で有名です。ルーマニアの首都のブカレストは、19世紀末から20世紀初頭に建てられた美しい建物の周辺に建てられた社会主義時代の建物によって、都市の雰囲気が壊されているのが残念なところです。
どれくらい“安い”の?
各国でいくらかかるかについて詳細に説明する代わりに、対価の考え方を共有したいと思います。
まずスタッフの場合、東ヨーロッパの労働基準法での労働時間は西ヨーロッパ諸国よりもはるかに長く設定されています。平均すると12時間ですが、これには昼休みやその他の休憩も含まれています。残業が必要な場合でも賃金は安く、時間ごとに漸増することはないので、コスト的にも有利です。
重要なこととして、スタッフの比率について留意する必要があります。これは、主要なスタッフ(監督など)、次に主要なスタッフ(助手など)、そしてその他の例えば技術や照明、編集などのスタッフの給料には大きな違いがあるということです。そのため、これらの料金を他の国の料金と比較する場合、大部分の撮影スタッフは部門リーダーで構成されてはいないため、その他のスタッフが占める割合で計算することが重要になります。
東ヨーロッパの予算編成の重要な違いは、多くの場合、さまざまな料金(たとえば、場所のレンタル、許可など)が一般的に撮影スタッフの人件費より高いことです。こういった背景から、この地域では多くの価値が財産よりもうまく機能していません。それでも、予算は常に人件費で計算する必要があります。
組合が存在しないことでどのような影響がありますか?
プロデューサーにとって東ヨーロッパでの撮影の紛れもない利点は、組合がないということです。そのため、運営することが少なくなり、勤務時間に関する規則(休憩など)が少なくなり、管理が容易になります。これは、他のどの国よりも予算管理がしやすい理由でもあります。 しかし、これは割引を無限に引き出すことができるという意味ではありません。これについて話しましょう。
私達はアメリカを旅行中、ロサンゼルスである晩、有名なアメリカのプロデューサーと会うためにバーへ行きました。いくつかの質問の後、私達はハンガリーのスタッフの人件費について話し始めました。そして、これらのアメリカドルで計算された新しいチャートを持っていたので、それを彼に見せました。彼がそれを見ている間、私達は彼の表情からその数字を気に入っていることが読み取れましたが、それでも彼は最後に尋ねました:これらの価格はさらに安くすることができますか?
なぜこの話をしたかというと、多くのプロデューサーは東ヨーロッパは魅力的な費用対効果の高い地域であると考えていると同時に、すべてが非常に安いと勘違いしているからです。それゆえにたとえ彼らが有利な価格であると思ったとしても、ただでさえ安い価格であるにも関わらず更なる値引きを求めるということがしばしば起こります。一般的に、我々はそのようなビジネスのパートナーにはなりません。その理由はハンガリーのスタッフの人件費がヨーロッパレベルからすると低く、これらの費用から年金、健康保険および税金を支払う必要があるからです。
もし彼らが年金、健康保険および税金を支払わなくてもいいなら、この給料で平均以上の生活水準を保つことができるかもしれません。しかしヨーロッパでは税金を支払うことが義務付けられているので、人々がより少ない給料で生計を立てなければならなくなれば、彼らはこれらの規則を守らなくなるでしょう。生活するため、あるいは単に今を楽しむため、なるべく税金を払わなくてもいいように解決策を見つけ出さなければならなくなります。誰かがこれらの賃金をさらに引き下げることでいいことは何一つありません。
東ヨーロッパでは公正な価格が存在し、それは双方にとって受け入れ可能な正当なものです。ハンガリーのスタッフはもちろんこのレベルにあります。ここで撮影する方がヨーロッパの大部分の他の地域よりも有利であり、プロデューサーの仕事を面倒にするような組合もありません。そして業界内に存在する暗黙の了解を悪用する人もいません。
どんな得をしますか?
アメリカから来たクライアントからは、ハンガリーやチェコでの撮影は自国で撮影しているようだとよく聞きます。これらの国々では、撮影スタッフの専門知識と仕事への道徳は非常に高いレベルにあり、妥協はありません。 アメリカのプロダクション(主に長編映画とコマーシャルの撮影)のおかげで、最新の、そして最も革新的な撮影技術と機器を試す機会を地元の撮影スタッフに多く提供してもらっています。
チェコとハンガリーでは、国の大きさに対して動員できるスタッフの数の多さは際立っています。大規模なアメリカの作品を撮影する場合でも、最高のスタッフが見つかるのかどうかを恐れる必要がありません。これらスタッフの水準が高いことから、最高のプロ達はこの地を選ぶのでしょう。たとえばハリウッドの大物映画監督が自国の照明技師を連れてきた場合、経験豊富なハンガリーの照明技師は単なる助手として働くことはしません。その一方で、ハンガリーの助手がアメリカの撮影にて多くの経験を積めば、彼らは優秀で経験豊富な照明技師になるかもしれません。これはどのようにして優秀な専門家の数が絶えず増えているのかを示す理由ですが、専門分野のギャップを埋めるためにハンガリーでは国を挙げて教育プログラムを開始しています。
安全ですか?
ハンガリー、ルーマニア、チェコは、経済的安全が保証されている欧州連合の加盟国です。一般的にこれらの国々との国際貿易には、ドイツやフランスの貿易と同じ規則が適用されます。銀行のシステムは安定しており、世界中の銀行と提携しています。更にハンガリーとチェコはシェンゲン地域のメンバーであり、それはこの地域の国々の間に国境管理がないことを意味します。これは実質的には、例えばドイツから技術的な機器を運ぶ時に最小の手続きで済むことを意味します。
残念ながら、今日でも多くの人が東ヨーロッパの首都に危険なイメージを持っています。しかし実際はそのようなことはありません。もちろんブダペスト、プラハ、ブカレストなどのすべての大都市では夜間に一人で出歩くのはお勧めできませんが、これらは限られた地域の話であり、一般的にはそうではありません。さまざまなテロ攻撃などが起きたこともなく、スリや強盗などの被害も深刻ではありません。
全体として、東ヨーロッパでの撮影は、他のヨーロッパの標準と比較して費用対効果が高く、安全であり、優れた価値を持っていると言えます。もちろん、パートナーとして最適な現地プロダクションを選ぶことは重要です。Progressive Productionsのプロデューサーの一人であり、この記事の筆者でもある私は、これらの3カ国の中で最もハンガリーを推奨するかというと、時と場合によると答えるでしょう。3つの国すべてが異なる分野で強いので、一概にはどこが一番いいのかは言えません。例えば、プロジェクトの性質上、プラハで撮影するのが最も格安で、ブカレストが最も高価になる可能性もあります。あるいは、ブダペストよりもブカレストの方が詳しい専門家がいるかも知れません。3つの国すべてであらゆる観点から精査し、場所を選択するのがいいでしょう。